あ ら す じ

鎌藤シリーズ第三作目!!
あなたは画像に敏感ですか?
 にはどうですか?
まわりを飛び交う
 画像・音・
情報にも裏表があるのです
 

もしもあなたの意図しない情報が
  あなたの脳に刷り込まれていたとしたら…
このお話は身近なツールに仕込まれた
猛毒のお話なのです

 毒の名は『洗脳シグナル』

最先端深層心理を操る魔手が
あなたに襲いかかるかもしれません

ターゲットは
あなたかもしれないのです
個人情報データベースを駆使した
ベルトコンベア・ビジネスモデル
身近に迫るサービスの罠
「揺り篭から墓場まで」
あなたの人生は
彼らに支配されてるかもしれません!
「美ら教がふりまいた猛毒」はそんなお話です



 

 

小説の一部をご紹介してます

 琉南大学三回生の宮城ゆき枝は、バス待ちの列の中で、もう習慣になってしまっているスマホでタイムズ紙の記事に目を通していた。
 三回生ともなると、翌年に迫った就職のことが、どうしても彼女の気持を暗くさせていた。今日の紙面にも沖縄就職戦線の厳しさを伝える記事に大きなスペースが割かれていた。
 このところ友人達との会話も、もっぱら話題はそのことばかりだった。記事には在学中に資格取りを進める学生達の話題が紹介されていた。ゆき枝も、四年制のこの大学入学当初から先輩達に勧められ、幾つかの資格を取得していた。
 しかし、就職に直接役立ちそうな資格は、なかなか通信教育だけでものにすることは難しく、専門学校へでの通学による取得が一番と考えるようになっていった。
3月に入って直ぐ、宜野湾市のバイパス沿いに建つインテリジェントビル内に開校した『美らIT学院』へ通うようになっていた。
 ゆき枝がこの学校を選んだ理由は、自由時間に使える最新型コンピューター自習設備が整ってたこと。
 本土の提携校との間に、衛星回線で結んだ最先端の教育経験を持つ講師から、直接指導を受けられるこだった。
 また、この学院は文科系から理工系まで豊富なカリキュラムが用意されていたこと。
 さらには複数科目を受講すると、受講料の大幅割引も受けられることが魅力的だった。
 ゆき枝は就職先として人材不足が取沙汰されている介護福祉分野を狙いたいと考えていた。
 そこで介護福祉士と理学療法士、そして今月に入ってからは臨床心理士のコースも加え、この分野のエキスパートとしての基礎知識を売り込む自分なりの就職戦略を立てていた。
 既に、福祉士と療法士については、来月から実習に移る段階にまで進んでいた。
 大学の単位取得もあったため、限られた時間を有効配分して行くには、都合、学院でのリベンジ機会は在学中二回まで残されてはいたものの、すべてをスムーズに取得したいと考えて、このところ空いた時間を自習室のコンピューターに向かうことが多くなっていた。
 授業の流れは、大教室での衛星中継授業が中心で、それを補足する形で、地元教官による補修授業が行われていた。
 さらに、授業内容を反復学習する自習プログラムが提供されており、自習室で一定期間学習を重ねて、目標レベルに達しない者には有償で在宅学習専用自習プログラムが提供され、ネットを通じて補習を受けられる仕組みも用意されていた。
 やる気さえあれば時間制約を気にすることなく、空いた時間を有効に学習出来るのが美らIT学院の特徴だったのだ。
 また、ネット学習が中心であったために、他の同種専門学校の学費に比べると、大幅に安いことも学生達には人気だった。
 スマホ世代の学生達にとって、ネット学習は移動時間を無駄にしない便利な学習方法だったというわけなのだ。
 しかし、穿った見方をするなら、ネット学習がかなりのウエイトを占めており、主催者側で一方的に統制した情報環境を調え易いことも指摘が出来たのだが……。
 その日、ゆき枝は関心のある記事に一通りスマホで目を通した後、前回の学習シオリを開いて、ネット自習をはじめていた。
 大学まで20分ほどかかるバス移動時間の半分を、自習にあてるのが彼女の日課となっていた。
 彼女の日課は、学到着後に学食で朝食をとりながらの自習。さらに友人達が集まれば駄弁り、午前中のカリキュラムを消化した後に昼食。
 午後の授業後はゼミへ。その後は大学から美らIT学院へのバス車中でネット自習。
学院到着後は一階のコンビニで夕食を仕入れて教室入り。自習しながら夕食をとり、午後6時半からの学院授業を受講。
 授業終了後は9時から10時までを自習室で、当日授業関連の自習カリキュラムを消化。前回までの理解度テストを受けて、その判定結果によっては在宅学習プログラムをスマホにダウンロードし 帰宅バス車中で再びネット自習。
 帰宅後は入浴を済ませレトルトで夜食をとってから、また自習プログラムへ取り組むといった規則正しいサイクルを、ただただ繰り返す毎日を送ってきたのだった。
 そんな生活が半年ほどつづいた頃、彼女は一種の学習ノイローゼ症状に陥った。
 就寝中に彼女が見る夢は、ネットの中を彷徨う自分を追いかけている自分の姿だった。
  やがてそれは追いかけられる側にまわり、逃れようとモガク内に奈落の底へ落ちて行く気分を味わって突然目を覚ますといった毎晩が繰り返されるようになったのだ。
 寝起きは体中汗ジットリで、なんとも気持ちが悪く、気怠状態で目覚めることも多くなっていた。
 ところが今朝方見た夢は、いつもと少し様子が変わっていた。追いまわされる自らの姿は変わらなかったが、その行く先には奈落ではなく、遥か遠くにつづくトンネルの先に、明るい空間の輝きが見えたのだ。
 トンネルを抜けて眩しい光の射す空間へ飛び出した瞬間に目覚めたのであった。
 今朝の目覚めは爽快感に満ちあふれており、何かが閃いた時にも似た感覚すらあったのだ。とは言え、何か確かなものを確認出来たというわけでもなかった。
 この日から、ゆき枝は眠ることに恐れを感じなくなって行った。学習意欲も進み、与えられたカリキュラムを着実にこなして行く自分の姿がそこにはあった。