あ ら す じ

 

中古モーターホームが家族の絆を紡ぐ

ユーモア溢れる弥次喜多道中をどうぞ

自営業大家族の悩みは家族間の意思疎通にあった
自由になるのは時間だけ
気付いた時には家族バラバラ

仕事で知ったモーターホーム
でも高くて手が出ない

主人公はへそ曲がり
自営仕事も風変わり
考え方もぶっ飛んでた

辿り着いたのが
中古モーターホーム
これなら手が届くじゃない
家族の動きが変わった

十日間の四国旅へいざ出発
悪戦苦闘が絆を紡ぎ
出来上がったのは団結心

子供達の人生は
独立してもまとまれる

明るい人生観が生まれてた

へそ曲がりと呼ばれはするが
受け入れちまったら成長してた

もう一度家族と旅がしたくなるお話です 


 

作品の一部をご紹介してます

 運転交代の要求は料金所で起こった。
 彼女、身長は150センチしかないのだが、左ハンドル車でも払える、料金所ボックスギリギリまで車を持って行ったのは良かった。
 しかし、初めて運転する図体の大きな車だし、運転室の車幅よりも広い居住ボックスを背負ってるから、怖くて、左に寄せ切れてなかったのだ。
 料金所のオジサンにカードを渡すのは一苦労。
 外車トラックのサイドウインドウは、ボタン一つで開きはするが、彼女の座高からして、料金所側から見上げて見ると、子供がチョコンと顔だけ出してるようにしか見えなかったのだ。
 料金所のオジサン、前の流れでカードを受け取って、一瞬、間をおいてから、こちらを振り返り「エーツ」ってな大声を上げたのだ。
 おそらく、子供が、それも、女の子が運転してるのだと思ったに違いない。
 今時なら、ダンプや陸送トラックでさえも、女性が運転してる時代だから、驚きもしなかったろうけど、奥の助手席に座ってる私に向かって「お客さん! 子供に運転させちゃだめでしょう……」と、お叱りの言葉を吐きはじめたのだ。
 その右手は、誰かを呼ぶ非常ボタンを押してるのが、私にも分かった。
 これには母ちゃん切れちまった。
「オジサン! 馬鹿にしないでよ! 若く見すぎだよ!」
そう啖呵を切ったのだ。
 オジサン吃驚こいて、ボックスから出て来ると「お客さん! このドアを開けて、免許証見せてくださいよ!」
 ドアを開けたら、オジサン吃驚さ~。
 全身見たら、服脱がさなくとも、どう見てもオバサンは誤魔化しようがないんだから……。
 そこへ事務所から駆けつけたお巡りさんらしき御仁が、「お前! 何やってるんだよ? 失礼な事するんじゃないよ!」
 そう、オジサンに怒鳴ったわけだ。
 さらに「どう見たって、お子さんには見えねえだろう? 間違いなくオバサンだろう! 馬鹿じゃねえか……」
 このお巡りさんの一言に、母ちゃん、またまた切れちまったわけだ。
「なんだと、この野郎! 黙って聞いてりゃ、ガキだと抜かしたり、オバサンだって言いやがったり……」
 後ろからは、渋滞してるからクラクションブーイングの嵐といった案配で、二人とも平身低頭さ~。
 お巡りさん、どうして持ってたのかは分からないが、チョコを二つ、女房にくれて「渋滞して来てますから、早く行ってください!」と、腰を低くして頼まれ「ブーブー」言ってる女房を急き立てて、先に進めさせたと言うわけだ。

 車は神戸を過ぎて、神戸淡路鳴門自動車道の標識が見えたところで、山陽道を後にして淡路島へと向かった。
 途中のサービスエリアでチョコを齧りながら、まだムクレテた妻と運転を交代した私は、比較的空いてる自動車道を快調にとばして、やがて前方に明石海峡大橋の巨大な橋脚が見える辺りまでやって来た。
 助手席はと見ると、妻はグッスリ眠こんでたではないか。
 私は後ろに向かって「大橋が見えてきたぞ!」と、何回叫んでも反応が無い。
 ミラーを覗くと、全員高イビキといった案配だった。
 私はダイナミックなこの景色を見せたくて、さらに叫ぶのだが、結局、妻を叩き起こし、子供達に知らせに行かせたのだった。
 橋の中央まで来たところで、子供達は辛うじて目を覚まし、その雄大な景観を眺めさせる事が出来たと言うわけなのだ。
 もっとも、一番興奮してたのはダイニング席に座って外を眺めてた大型犬のブルペンであり、えらく興奮して外を見ながら吠えつづけるのだった。